子供の頃の長期休暇の宿題の代表格と言えば、わたくしの時代は『夏の友』『冬の友』『読書感想文』でした。

道場の御父兄の皆様の話題も、冬休みの終わる頃には子供の読書感想文のことが多かった。
Facebookの同世代の友達の投稿にも、子供の読書感想文に手を焼く、という内容をしばしば目にしました。

今だに読書感想文は学休期間の宿題の中心にあるのですね。
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わたくしは、そんな読書感想文を廃止すべきだと考えています。


そのかわり、読んだ本のあらすじを書くという宿題に変えればいい。

子供の頃、読書感想文を書いているつもりが、だんだん内容があらすじになってしまい、先生に
『これは感想文じゃない。ただのあらすじだ。』
と怒られたことがあります。

しかし、最初から本のあらすじを書くという目的の宿題はどうだろう。


例えば、中学生なら150ページの小説を、400字詰め原稿用紙5枚に。

小学校低学年なら、7ページくらいの話を500字程度に。

長期休暇に1冊本を読んで、その内容をちょうど感想文の目安の分量くらいに短くしてみろ、という宿題。


きっとこれには素晴らしい効果がありますよ。


だいたい大学生でも社会人でも、あれこれ長々と話を聴いた後に、で、どういう内容だった?と後から尋ねても、よくわかってないことがあります。

組織の中で、上司から指示を受けて、その中の何かを聴き漏らして結果失敗する。
講演会とかでも、話の要点を聞きそびれて、せっかく時間とカネを使っていながら無駄にしてしまう。

国語で求められる力は、大きく分けてふたつ。

『読解力』『表現力』

これに尽きるのです。


感想文はハードルが高い。
特に小学生には難しすぎる。

感想文は、読解力も表現力も、どちらもかなりの高水準を求められるうえに、費やした労力に対しそれを向上させる効果はほとんどないのではないか。

それに、各学校ごとに感想文の表彰とかやってますが、実際のところ感想文の出来に評価を下すなんて不可能ではないか。

なぜなら、そもそも採点する側が、その作品を読んでいるとは限らない。

次に、感想という個人の主観的なアウトプットに、厳格な採点基準を設けられない。

そうなると、文章がいかに上手いかという見せかけの表現力だけが採点基準になり、感想文の内容はおいてけぼりを喰らいます。


だいたい、感想が上手、とは何なのだ。

感想とは個人の主観の発露であり、それに他者が点数をつけるとは何事だろうか。


語彙の豊富な大人ですら、映画を観に行ってその感想を
『いやー。おもしろかったよ』
『うーん。まあまあだったかな』
ぐらいにしか言わない。

その映画を一緒に観た人となら
『あそこの、あの場面、泣けたよねー』
『最後のあれ、要らんやったと思わん?』
とか、その程度です。

せいぜい
『あなたも観に行くべき』
『あなたが観に行くほどではない』
どちらかの流通分がそれに付け足されるくらいか。

大人ですらそれくらいの会話しかしないのに、いったい子供に何を求めているのか。

感想なんか別に要らんでしょ?

そもそも、感想文を評価する先生が、必ずしもその作品を読んでいるわけではない。
同じ映画を観たことのある人となら共感できるものの、その映画を観たことない人はリアクションができない。

リアクションが得られない相手を想定して、一方的に感想を話しても盛り上がらない。

皆様も経験あるはず。
海外旅行から帰ってきて、その国に行ったことのない人に延々とお土産話をしても面白くないことを。

でも、海外旅行に行った人の話はやっぱり聞いてみたいんです。

聞きたいのはその人だけの主観的な感想じゃなくて、その旅行中に何があったのかをじゃなかろうか。
現地に行かなかった人に、どのコースで回ったのか、何日目にこれが起きた、あれが起きた、と

あと、何か特筆すべきエピソードなどがあったら聞きたい。
特筆すべきエピソードといっても、聞き手が共感してくれることを前提に、簡潔に話をまとめるはず。
この工程がヘタな人のことを一般的に話下手と呼びます。
たぶん、話の本筋に関係ないことを多くしゃべり過ぎて、主題がボヤけてしまうのでしょう。


あらすじを書くのに枝葉の話題に拘泥されていてはいけない。
必要なのは、主題を見抜き、長い話を短く要約する能力。


長い話を短くまとめさせてみると、絶対に省いちゃいけない山場、登場人物、その他の重要なポイントをしっかり見抜く力が付きます。


主題を見抜く力=読解力

それを誰かに読んでもらうことを前提に文章を編集する力=表現力

どっちも鍛えられる。


それから付加効果ですが、たとえ子供が誰かの宿題をほぼ内容を同じくして写したとしても、どっちがどっちを写したのかを2、3の質問で見破ることも容易です。
中心となる話題の脇の質問をしてみればいい。

さらに、そりゃ宿題の趣旨からすれば大幅に意味はなくなるが、内容の完成度の高い文章をズルして書き写す作業をした経験だけでも表現力を上げる効果は高い。


それから、先生の採点がラク。
採点に先生の主観が入りにくい。
ついでに、先生も子供の宿題を採点することで、読んだことのない作品に多く触れられる。


全てに於いて、完璧な提案だと自負しております。
どうぞ国語教育に携わる方からのご意見をお待ち申し上げます。

なお、学校の体育館で全校生徒を対象に映画を上映して、みんながその感想文を書く、というようなことまで否定する気はありません。