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ここにきて病状が悪化し、いよいよ切るしかないところまで来たようで、先々月、我が兄龍祥が左脚を膝の下から切断しました。

だいじょうぶです。

本人も、家族も、それをさほど不幸なことだと思ってませんし、新たな気づきを与えていただいた貴重な経験をさせていただいているとむしろ感謝しているほどです。

兄はみずから冗談を言っております。

『足なんて飾りですよ。偉い人にはそれがわからんのです』
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他の人が言うならけしからん冗談ですが、まぁ、本人の口から申しておりますので。


生きている人のカラダの一部を焼却するってどうすればいいのかご存知でしょうか。
だいたいは切断した病院が、翌日まとめて焼骨に出すらしいのですが、個人でお願いして、それを持って帰ることもできます。

兄は、骨を持って帰ることを希望しました。



自分の身体の一部を焼くとはどんな感覚だろう。

例えば、子供の頃に歯の生え変わりの時、下の歯は屋根に投げろ、上の歯は庭に埋めろ、と親に言われて素直にその通りにしていましたが、実際のところ、自分の歯をそうやって手放すのはちょっと嫌でした。

大人になって、最後の親知らずを抜いた時、これがまた歯の根っこがごっつくて抜歯の際に大いに苦しめられたのが、却って愛着が湧いて捨てずに取っておきました。

そうは言いながら、すぐにどっかに行ってしまったのですけれども。


自治体によって違うのでしょうが、なかなか煩雑な手続きが必要でした。
たまたま焼却の担当をしたのは、兄の小中高の同級生である中島逸郎さん。
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兄のこんな大事に中島さんが担当になってもらって本当に良かった。

こうやって、特別に木箱を作って
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そして焼いてもらいました。
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別に、死んだわけじゃないから悲しくない。
我々の服装も普段着です。
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しかし、これがまた目立つ。
小さい箱と、父、伯母の3人でしたから、せいぜいペットの死骸でも持ってきたのかというくらいのいでたちです。
バシッとブラックフォーマルでいらっしゃる他の団体からすると、なんだあの変な3人組は?くらいに思われたことでしょう。
(※ちなみに火葬場ではペットの死骸を焼却することはできません。)

中島さんに聞いたところ、人体の一部焼却は少ないものの、流産の場合には普段着、少人数で来られることがあるそうな。

火葬?が済むまで控え室で待ちます。
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体積が小さいからすぐに呼び出しがありました。
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骨の数が少ないものだから、これが小指の第一、第二、第三関節ね、とわかります。
でも全部いっしょくたにして骨壺に入れて持って帰りました。



ここでも兄は一言ブラックジョークを。

『さて。一足先に火葬を済ませた』。

うん。確かにふたつの意味で一足先に火葬したね。



現在、兄は佐賀記念病院の329号室に入院しております。
もうすぐリハビリが始まるそうです。
いたって元気ですから、時間があれば遠慮なくお見舞いに行ってやってくださいませ。

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ちなみに切断面は丸いのかなと思いきや、大根を包丁で切ったみたいに、スパッと断面そのままだそうです。
包帯を外して実物を見たことはありませんが。

時々、兄は、今ではもうない足の、指が痒かったり、痛かったりするそうな。
戦争で手足を失った人の、いまもそこに手足があるような感覚がずっと消えないなどと言いますが、おそらくそんな不思議な感覚がつきまとうのでしょう。

いろいろ障害を抱えることとなりますが、本人も家族もいたって元気です。
どうぞ今後も兄・大野龍祥をよろしくお願い申し上げます。