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今年の夏、某コンビニに立ち寄ると『夏の恵方巻き』なるものの販売促進ツールを頻繁に目にして苦笑しておりましたが、下記のネットニュースを見て愕然としました。


マイナビニュース【「お盆玉」「恵方巻き」「甘酒」 冬の習慣が夏に登場する訳】
[2013/08/11]
 お盆を前に売れているものがある。ポチ袋だ。正月にお年玉を渡すように、お盆休みに孫や子、親戚の子どもたちにお小遣いを配る「お盆玉」が、少しずつ広がっている。先ごろは、大手スーパーやコンビニが夏の節分(8月6日)に向けて「夏の恵方巻」を展開。冬の習慣やイベントが装いを変えて夏にもお目見えし、新たな商機を伺っている。

 大手企業の夏のボーナスが前年比4.99%増となった今年、お盆玉を広げようと、売り場を拡充する店舗が増えている。池袋のロフトには、かき氷や海など、涼やかなポチ袋がずらりと並ぶ。先月の売り上げは、昨年に比べて10%以上増となった。もともと一部地域では、親が、お盆に田舎に帰省した子や孫に小遣いを渡す「お盆玉」の習慣があった。夏にポチ袋を購入するのも50〜70代が多いという。

 節分に、その年の恵方を向いて食べると縁起がよいとされる恵方巻き。最近はコンビニを中心に、“夏の節分”に向けても販売されるようになってきた。現在は立春の前(2月3日)を節分と呼んでいるが、そもそも節分とは季節の分かれ目のことで、立春、立夏、立秋、立冬の前日はすべて節分ということになる。

 セブンイレブンによると恵方巻きは「古くは四季の変わり目である『節分』ごとに食べていた」ものだという。冬だけではないのだ、と、昨年からコンビニ各社は7月から販売を開始するなど、夏の恵方巻き定着を狙ってきた。「縁起ものですし、夏休みに家族で分け合って食べるのにもちょうどいい。冬に比べるとまだ認知度は低いですが、毎年展開していくことで、根付かせていきたい」と、大手スーパー店員は語る。

 習慣というわけはないが、冬に飲まれることが多かった甘酒も、昨今、夏の飲料として注目を浴びている。実は甘酒は夏の季語。江戸時代は、甘酒売りが夏の風物詩だったという。その習慣を復活させようとスーパーなどが冷やし甘酒を並べるようになると、栄養満点で、猛暑における夏バテ対策飲料として、人気を集めるようになった。

 こうした状況について「風習や歴史を背景にした説得力のある意味づけが、差別化につながっている」と語るのは、ニッセイ基礎研究所准主任研究員の久我尚子氏だ。

「安くて高品質なものはすでに溢れています。消費者は、目新しさや面白さを求めている。そうした差別化を図るには、付加価値や意味づけが重要になってくるんです。モノを売るにもコトを売るにも、これまでにない、別の側面を見せる必要がある。そんななか、季節の習慣やイベントは、企業側にとっても消費者にとっても、積極的な意味づけを感じることのできる大切な要素になっています」

 販売機会の拡大を狙って、忘れかけていた“季節のイベント”は増えていきそうだ。
(参照元)http://news.mynavi.jp/news/2013/08/11/026/index.html



『セブンイレブンによると恵方巻きは「古くは四季の変わり目である『節分』ごとに食べていた」ものだという。』


この部分が許せない。


絶対にそんなことはない。

絶っっっ対にそんなことはない。


少なくとも、この記事を読んだ当初、セブンイレブンに対して強い怒りを覚えました。
夏の節分に恵方巻きを食べていた地域なんて日本のどこにも存在しない。断言します。

わたくしが恵方巻きに初めて触れたのは、大学3年のとき(平成6年)大阪市平野区で学習塾の講師をしていた頃でした。
女子生徒のひとりが職員室で
『先生〜。むっちゃおなか減ったわ〜。朝からなんも食べてへんねん』
『今日、2時間目の途中で帰らなあかんから』
とやたらアピールしてきて、よくよく理由を聞いてみたら、全く今まで聞いたこともない独特の風習がこの地域にあったのです。

なんでも節分の日には、_搬価完そろって、太巻きを、終始無言で、づ喘罎埜を太巻きから離さず、イ修稜の吉方に向かって、食べなきゃならんらしい。

女子中学生にとって、太巻きをまるまる1本食べるのは困難です。
だから、朝から食事抜きにしていたわけです。

それから、家族全員が揃ってからしか始められない。
だから、塾も早退する。

こりゃあ変わった風習だ。

彼女が早退した後、教室のみんなに質問しました。
『ねえ。みんなの家でも家族で太巻き食べるの?』

『あれは〇〇地域(覚えてません)だけの風習やで。』
『加美南ではせえへんなぁ』
『やってるとこ少ないで』

などと活発に答えが返ってきます。
ということは、恵方巻きの平野区での認知度は高いが、普及度は低い。

たとえ子供や女の子でも太巻きを完食させていたことや、塾を早退させるほどに厳格な家族行事だったこと。
また、極めて限られた地域の特殊な風習だったことが伺えます。



関西を去り、数年が経ちました。
まさか九州で恵方巻きに再会するとは思ってもいませんでした。
それはご存知の通り、コンビニ商戦の販売促進材料として。
大阪市平野区の、しかも限られた地域の風習だった恵方巻きが、九州でも見かけるようになるとは。



それから、恵方ですが。

恵方とは別名『あきの方』と呼ばれ、その年に歳徳神(としとくかみ)の廻座する方角で、古来より最大吉方として有名でした。
特に、恵方参りと呼ばれる初詣は、正月に自宅からみて恵方にある寺社に参詣すると、歳徳神の御威光も頂戴できるので良い年になるとされています。

ちなみに歳徳神はその年の十干により下記の4方位を廻座します。

甲己の年は『甲(方位二十四山で北寄りの東)』の方位
乙庚の年は『庚(南寄りの西)』の方位
丙戊辛癸の年は『丙(東寄りの南)』の方位
丁壬の年は『壬(西寄りの北)』の方位

要するに、現代の暦でいえば2月4日の立春から翌年の節分まで1年間全く動かない神様なのに、なぜ夏にもう1度お迎えの儀式をする必要があるのか。

それなのに
『セブンイレブンによると恵方巻きは「古くは四季の変わり目である『節分』ごとに食べていた」ものだという』
だって。


おいおい歴史捏造だよ。
「風習や歴史を背景にした説得力のある意味づけが、差別化につながっている」
って、自分が商品を売りたいあまり、販売に至るまでの文化的正当性をでっち上げやがった。

あまりにも許せなくて、セブンイレブンの公式サイトや関連サイトを躍起になって調べました。

ところがセブンイレブンの公式ページのどこを探してもそのような文言は見当たりません。
そのかわり、こんな興味深い記事を2つ発見しました。(つづく)