勝嚴寺には別院があり、腰岳稲荷と言います。
腰岳は佐賀県伊万里市にあり、黒曜石を産出する珍しい山です。その腰岳の中腹に稲荷の祠があり、古くから地域の皆様の崇敬を受けていました。
そんな腰岳の稲荷が、これが巡り巡って勝嚴寺が管理することになって約10年。
折を見て、幣束を交換したり、境内地の落ち葉を掃いたりクルマで約1時間かけて通っております。
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そんな腰岳の稲荷の境内地に、いつしか太い竹が目立ち始めました。

竹は恐ろしい存在です。

竹の繁殖力は凄まじく、手入れを怠ると、あっと言う間に森の樹木を駆逐し、一面竹に覆われてしまいます。
わたくしは普段から三瀬峠を越えて福岡と佐賀を行き来しておりますが、近年、林業の衰退により、すっかり樹木が枯れ果てて竹だらけになってしまった山々を見ては、いつも心を痛めております。

そんな竹が、ついに腰岳の稲荷の境内地まで侵食し始めていたのです。

試みに、今年の正月にノコギリで竹を一本切ってみました。

ところが、たかだか竹一本切って、それをこまめて邪魔にならない場所に移動させるのに、なんと1時間かかる。
ざっと見て、境内地に極太の竹が約20本、そんな太くない竹ならもっとある。
ということは、これらの竹を処分して森の樹木を守るための手入れに24時間は必要です。

さすがにそれはできません。

できないから後回し。
後回しにするから、数ヶ月後の次の参拝の時にまた竹が増える。
竹が増えるから、なおのこと後回しになる、というスーパー悪循環に悩まされておりましたが、先日チェンソーを購入したのです。
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嫁の実家の手入れをした時に買ったチェンソー。
この時作業しながら、そうか、これで腰岳の竹の問題も解決できる。
そう思って、火曜日にようやく腰岳稲荷の大掃除に、一族郎党フル装備で来ることができました。

なんと言っても4月28日の立教開宗の聖日は、腰岳稲荷の大祭でもある。
なんとかその大祭の前に大掃除ができてよかった。

わたくしは、まず参道の落ち葉を片付けます。
ところが、この濡れ落ち葉が、しかも数ヶ月に亘って堆積しているのをホウキでどけるのは容易ではなかった。
スコップが必要なレベルだったのを、全部松葉ホウキで片付けた自分を褒めてあげたいくらいです。
翌日は人生で指折りの筋肉痛でした。
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竹の切り出しは嫁の弟のまぁくんにやってもらいました。
父はその切り出した竹をこまめる作業。
嫁は祠の室内。
兄は落ち葉を集めたり、草を焼いたり。


そういえば作務中に、初老の男性が訪ねてきました。

腰岳稲荷は車道からも遠く、まず誰かが偶然迷い込むようなところにはありません。
にもかかわらず、その不審な初老の男性は
『昔、この辺に独特な焼き物を焼く窯があったのを探してるんだけどねぇ』
と言いながら、しばらく我々と世間話をして、再び道なき道を登っていきました。

道なき道、です。

作業に飽きたわたくしは、さっきの老人が登っていった後を追って歩いてみました。

ところが、絶対に登れそうにない。
道なんかなく、たくさんの倒木が行く手を塞ぎ、トゲのある植物がひしめいています。
結局足跡は掴めず、来た道を戻ることすら困難なところを帰ってきました。

あの老人は、きっと腰岳の神々の変化の姿に違いない。

だって、人間の歩けるはずがない方向に消えていったから。

そんな風に都合よく解釈しながら、めげそうになる自分を鼓舞して大掃除はだいたい完了。
なお、翌日も、翌々日も兄や父や義弟は作務に行ってくれました。ありがとうございました。

そんな腰岳稲荷の年に一度の大祭は、4月28日(月)13:00より厳修されます。
お近くの方は是非お参りください。