産まれて初めて胃カメラを飲みました。

なんのための胃カメラかと言えば、日蓮宗大荒行堂に入行するための事前の健康診断なのですが、わたくし今年から胃カメラ検査が義務付けられたことを知らず、去年の書式のまま提出してしまい、胃カメラ検査だけやり直して再提出するように宗務院から連絡を受けていたのです。


ナメてました。


地獄をみました。


前日の21時以降に固形物を食べるな、と言われておりました。なので遅い昼メシを多めに食べました。
前日、出稽古に来てくださった武友会の先生からハイチュウをいただきました。
2014-08-21-23-28-04

ハイチュウくらいなら大丈夫だろうかとFacebookにアップしたら、凄まじい数のコメントをいただきました。


仕方なくハイチュウは諦めました。


それなのに、稽古後にみんなで焼肉に行ったりして。
2014-08-21-23-48-28


まあ、でも、自分で言うのもなんですが、わたくしなかなか根性ありますよ。
2014-08-22-00-10-19

箸も割らずに、みんなの食べてる姿を2時間眺めておりました。
むしろこっちの方が地獄でした。



そんな中で、先のFacebookの投稿に、多くの皆様から胃カメラ体験談が集まりました。

総括すると、鼻からが苦しい説、口からが苦しい説、諸説が拮抗しており、どちらがどうとはなかなか言えそうにない。
要するに、鼻からだろうと、口からだろうと、おそらくその苦しみにさほどの差はないのだろう。

ただわたくしの想像では、鼻からモノを突っ込まれるならば、それはたとえコヨリくらい細いものでも想像しただけでつらい。

もし選べるなら口からを所望しよう。



翌日、予約時間きっちりに病院へ行きました。
いーはとーぶの北隣にある江口病院です。

それなのに、なかなか始まりません。
えらい待たされました。

問診とか、簡単な診察とか、ちょこちょこしたことを経て、ようやく狭い部屋に入ります。

わたくし、ここで初めて胃カメラの現物を見ました。


意外に太い。

わたくしの勝手な想像では、iPhoneの充電器のコードぐらいだろうと思っていたら、屋外用の延長コードのドラムリールのコードくらい太い。

ちょっと怯みます。

麻酔の液というか、ジェル状のものを5分間、口の奥に溜めます。

これも確かに苦しかったけれども、あのドラムリールコードを飲み込むことを想像したら、ここで麻酔を甘くかけたりしてると後から辛かろうと、なるべく飲み込まないよう、一生懸命に鼻呼吸に徹しました。

そのあとスプレータイプの麻酔をシュッシュッと。

これはピリッとする。
きっと、よほど強い麻酔なのだろう。

なんだか麻酔が効いてきたような、なんだか懐かしい感覚がありました。

ベッドに横になりました。

次の瞬間、強烈な吐き気!

いったん起き上がりました。

気を取り直して、再びベッドに横になりました。

また吐き気!
そして、咳!

医師に
『つばを飲み込もうとすると、むせ返りますよ』
と言われました。

『ああ、ということは、ヨダレもとにかく流れるに任せて、もう飲み込もうとしない方がいいんですね』
『うん。そっちのがいいです』

覚悟を決めました。

絶対にコードを噛めないような口枷みたいなのを先に咥えました。

そこに例のドラムリールコードが突っ込まれます。

もう、されるがままです。

モニターにカメラが映し出す画像が表示されています。

よし。じゃあ、あのモニターでも見ながら自分の胃の中を客観的に観察してみるか。


喉を通過します。


ああああ?


くっ、苦しい‼︎‼︎‼︎


マジで苦しい‼︎‼︎‼︎


ああ、涙が。


鼻で呼吸しているのか、口で呼吸しているのかわからなくなりました。


ただし、これは前日にこういうふうになるとの情報は入手済み。
動揺はしませんが、なにより、想像よりも、はるかに苦しい‼︎‼︎‼︎

呼吸できない。

咳したい!

しかし、咳をすると絶対ヤバいと想像がつくので必死に我慢します。

バリウム飲むときの発泡液でゲップ我慢しろ、と言われるのも無茶いいよると思いましたが、比べものにならん。

目をかたく瞑りました。

モニター見る余裕とかない。
いや、というよりモニターとか見てしまうと吐いてしまう。

医師が冷酷に
『目は軽く開けといてくださいねー』
と言います。

なぜ?

目を開けることと瞑ることに差があるのか。
なかろう?

もう、シカトしてずっと瞑ってました。

目を瞑っているのに涙が流れます。
枕がないので、斜め上に涙が流れます。

わたくしは今年の冬、4回目の修行ですが、これ、5回目の修行の前にも飲むんだよね?

『胃カメラを飲むのが怖いので第五行は断念しました』
と言おうかな。

それくらい苦しい。

看護師さんが気遣ってずっと背中をなでてくれます。
いろいろ話しかけてくれます。

気分は、野戦病院に運び込まれた傷痍兵です。

まったく身動きができないけど、アタマははっきりしています。
しかし、返事がロクにできない。

ああ、この涙は苦しくて泣いているのもあろうが、きっと自分が情けなくて泣いている涙でもあるのだろう。


たかだか胃カメラ飲んだくらいで偉そうなことは言えませんが、知的障害はないけれども、身体的な障害が重過ぎて意思の疎通が難しい子供がいます。
そんな子の気持ちが垣間見えたように思えました。



胃カメラを飲んで学んだこと。

その1.

身体的苦痛に身を置いている時に、他者と繋がっている安心感といったらない。

看護師さんが、ずっと背中をさすりながら、ずっとわたくしに声をかけ続けてくださった。それにとにかく安心させられました。



その2.

身体的苦痛に身を置かれている人は、なかなかリアクションができない。


ま、考えてみりゃ当たり前の事ですが。

たかだか胃カメラかもしれない。
ところが、この身動きのできない、追い込まれた状況では、頷く程度の簡単な返事でさえもロクにできないことが身をもってわかりました。


ウチの施設の子供達のことを考えました。

言葉を話せず、意思表示が上手くできない子供が、リアクションがないからといって放置していいわけじゃない。

われわれは施設利用の子供達に、他者とつながっている安心感を与えなきゃならない。

やはり、『愛』の対義語は『無関心』。
きっと無関心は人の生きる根本を壊すのだなぁ。


検査が終わり、地獄から解放されました。
一足先に医師が出ていき、看護師さんと2人になりました。
『かーー!きつかったっす!こんなにキツいとは思わなかったなぁ』
と初めての胃カメラの感想と弱音を吐いたら、
『まぁ、でも、道場生に話すネタが増えて良かったじゃないですか』
と言われたのです。

アタマの中をはてなマークが飛び交いました。

『え…?なんで知ってるんですか?』

『ええ。ウチの子が長いこと先生の道場にお世話になってましたから』

って、ええええー?
マスクされていてわからない!

『○○○がお世話になりましたー』

って、あの、ウチの道場にいた○○○くんのお母さまでした。

『先に挨拶してしまうと、肝心な検査で変に身構えられてもいけないので』

そう。涙やヨダレをだらだら流してる顔は絶対に見せられないとか、そんな余計なことを考えていたら、おそらくもっと苦しい胃カメラだったに違いない。


結果は、まぁ全体的には問題ないけれども、ひとつだけ。

逆流性食道炎。
4段階中、3段階くらいらしい。

原因は食べ過ぎか、食った直後に横になっているか。

反省しよう。


ところで、胃の中って、あんなにキレイなもんなんですね。
ほんと、焼肉屋さんで見るシマチョウみたいで。

ほほぉ、これが俺のカラダの中か、と感心しました。

これまでの40年間、毎日決められた仕事をこなすわたくしの胃袋よ。そして、カラダ全体よ。

よくぞここまで長年の使用に耐え得るように緻密に設計、作成されているものだ。

自分のことは自分が一番わかってるようで、自分がどういうふうに作られているのかとか、さっぱりわからない。

自分のカラダは天からの借り物だという考え方がありますが、なるほどと思えました。



ちなみに支払いは13000円。
昼メシにうなぎでも食ったろかという考えは断念しました。

その後のカラダのダルさが丸一日残りました。
また長い人生で再び
胃カメラを飲む日が来ることに怯えながら生きていきます。