先日、とある空手の試合会場にて、リングの上で乱闘が起きました。

現場にいなかったウチの指導員に、最終的な結果を伏せて、その時の状況を説明しました。

あなたならどうするか。
皆様もお考えください。

片方の選手(外人選手)が反則行為を重ね、減点を取られました。
実戦空手の試合において減点を取られるということは、99%の確率で勝てない(残り時間でダウンを取らないと絶対に負ける)ということです。

時間がきて、判定になります。
まぁ、減点を取られた選手の負けです。

で、判定の最中に、負けの確定した選手が相手に歩み寄り、まさかのいきなりハイキック。続けてパンチを連打しながら猛然と突っかかって行ったのです。

やられた選手は状況が一瞬飲み込めなかったのでしょう。わずか数秒、いや1秒くらいでしょうか、すぐには反撃できません。
副審が一斉に飛び掛かります。
セコンドもリングに駆け上がります。
その他の関係者も駆け上がります。
3〜40人はいたでしょうか。開会式の時くらいの人数はいました。
リングの上では揉みくちゃで殴り合いが起きます。


で、考えてください。


あなたが大会主催者なら、判定の間に相手に殴りかかったその選手にどのような処分をしますか?


ウチの指導員は答えました。
『うーん。ま、とりあえずは退場処分やろーねぇ』。


ですよねぇ?


皆様のお考えはいかがでしょう。

とりあえずは退場にするのが適当ではないかと思われますが、今回の事件は悪質です。それだけでは済まされません。
その後、他団体であってもたとえば今後この大会には出場を断るとか、もしくは出場停止期間2年とかにはするでしょう。
はたまた同じ流派なら、内部処分として謹慎数ヶ月とか、それどころか、今回は破門すらもあり得るくらいの暴挙です。


で、この乱闘騒ぎのあと、どうなったかと言えば


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1時間半の審議(当然その間大会は中断)とあと、なんと判定は無効となり、特別延長戦をやり直すことになったのです。


はぁ?でしょ?


で、これまた後味の悪いことに、試合の結果もひっくり返ってしまったんですね。

その問題の選手と、そのセコンドは大喜び。
会場の外国人もみんなスタンディングオベーション。

この選手は結果準優勝したのですが、聞いた話によると試合後のインタビューでも
『今回は騒ぎを起こしてすまなかった』
『見苦しいところをお見せして申し訳ない』
などの謝罪の言葉も一切なし。


全く自分は悪いと思ってないのです。



で、もし。

同じことを日本人が、しかも他流派の選手がやっても負けた試合を無効にしてくれるのか。

じゃあ、負けたらゴネてみよう。
もう一回延長戦ができるかもしれないよ
ってことになりますな。

まぁ、いくらなんでも日本人選手がそれをやることはないでしょうが、確実に諸外国にナメられてしまいました。


これは、テロ行為です。


この大会はテロに屈したのです。


テロとはなんぞや。

テロの定義をちょこっと調べたのですが、この言葉には100を超える定義があって、一言で説明するのはなかなか難しい。

わたくしがイメージするテロ行為とは、
『相対的に弱い立場にある者が、より強い相手に対して自分の要求を通す目的で、相手の嫌がる行為を不法に行うこと』
だと思っています。

代表的なものに、ハイジャックがあります。

国家という強い相手に自分の要求を飲んでもらうために、相手が嫌がることをする。
国家が嫌がることって何がありますか?
それは何と言っても多数の自国民を殺されること。
だから飛行機を奪い、国民を人質に取り、お前のとこの国民が殺されたくなければ我々の言うことを聞け、という論理で要求を通す。

他にも、近年では世界各地で爆弾テロが頻発しています。
人通りの多い道の車に仕掛けたり、客が多いお店に仕掛けたり、無差別にそこの国民を殺す。

で、これ以上このような悲しい事件を起こされたくなければ我々の意見を聞け、というのがテロ行為です。



日本は平和ですが、テロリストは我々の極めて身近なところにもいます。

たとえば、幼い子供にはテロリストが多い。

なにをいきなり物騒なことを!と思われるかもしれませんが、規模の大小は異なるにせよ、言葉を話せる年齢の子供が公衆の面前で泣きわめく行為の半分は、悲しいという情動からではなく、したたかなテロ行為です。

お菓子売り場、おもちゃ売り場で、親に
『買って!買って』
と要求を通す子供を見かけます。
親がダメよと断ると、いよいよ大声で泣き叫んだりします。
そうすると、親は
『今日だけ特別だからね』
などと言って、子供の要求を飲む。

これがテロリストの手口です。

自分の親はみんなが見ている場所で泣きわめかれたくない、ということを子供は経験的に知っています。
だから、ここでひと芝居打って、親を困らせれば要求が通るんじゃないか、と、とりあえず大声で泣いてみる。

困った親はとうとう
『今日だけ特別だからね』
と釘を刺した上で買ってやる。

子供を黙らせるために、子供の要求を飲んだのです。
テロリストに、テロ行為をやめさせるために、テロリストの要求を飲んだのです。

テロに屈すれば、また同様の事件の再発を生みます。
この子供は、また自分の欲しいものがあれば、大勢の人混みの中で前回と同じように泣き叫びます。このやり方が親に要求を通すためにはかなり有効な手段であることを覚えたからです。



時折、大使館に人質を取って立て籠もったり、YouTubeで処刑の動画を上げたり、この日本に関する、悲しく、ショッキングなテロ事件が起きます。

テロに負けないとは、残酷なようですが、人質の命がどうなろうとテロリストの要求は絶対に飲まない、ということです。
もちろん、人質の命は大切なのは言うまでもありません。
しかし、日本を除く他の国々はテロリストに絶対に屈してはならないということを痛いほど理解しています。
それくらい諸外国は歴史的に手痛い目に遭ってきたのです。


近年では日本国内において銀行強盗はほとんどいません。
確実に失敗するものだから、リスクが高すぎて誰もやらないのです。

他の国々でも、人質を取って立て籠もることも、追い込まれた犯人が最後の最後にそういう抵抗の仕方をする場合もありましょうが、計画的にそんな犯行をする者なんていません。

絶対に失敗するからです。

日本以外の国で人質を取って何らかの要求をしたところで、特別鎮圧部隊に突入され、犯人グループは人質ごと全滅させられてしまう。

だからこそ、近年では無差別爆弾テロなど、犯人が特定されにくい手口に変化してきました。
犯人がいくら人質を取っても、必ず犯行グループは全滅させられるからです。

今後2度と同じような犯行が出てこないように、テロリストは徹底的に叩き潰す。
これが国際的な対テロリズムの基本ルールなのです。


今からまさに殺されようとする人質を目の前にすれば、誰しもテロリストに負けそうになる。
しかし、そんな情緒的な理由でテロリストの要求をいちいち飲んでいたら、翌日から、なんだよ、あのやり方って通用するのかと思われてしまい、次々に同様の事件を誘発し、結果、犠牲者の数はもっともっと増えてしまいます。


今回の大会において、主催者はその外人選手にどんな遠慮があったのか知りません。わざわざ遠くからお金をかけて日本まで来てくれたのを可哀想に思ったからか、これまで空手母国日本の王座を守るために外人選手に酷い判定をし続けてきた贖罪意識か、それとももっと政治的な裏事情があったのか。
しかし、そんな情緒的な理由でルールを超越した行為を許したら、今後の運営が危ぶまれてしまいます。

もし次に他流派の日本人選手が判定中に暴れて、失格になったとします。

その時にその選手は開き直って言えばいい。

どんな理由で僕は失格なのですか?
前回の大会で、今日の僕と同じことをやった選手は再試合ができましたよね?
なんで今日はそれがダメなのですか?
僕にも再試合させてくださいよ、と。

マスコミは
『武道の会場で乱闘という品格に欠ける行為が…』
などと言ってますが、実はそんなことはどうでもいい。
そりゃ乱闘とかわたくしも25年カラテやってて初めて(本当は2回目)ですが、そもそも空手は格闘技。殴り合いでどっちが強いかを決めるのが空手ですから、それも起源を辿ればまぁ、ありえることかもしれない。

この団体は今後、判定を不服として突如相手に殴りかかるような選手を処分するための根拠を失うという、あまりにも重大な禍根を残してしまいました。
無理を通せば道理が引っ込む。
テロに屈した代償はこれから大きくのしかかってくるんじゃないかと、そっちの方が心配です。




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