先週の金曜日から沖縄に行ってきました。
久しぶりに自分の道場生以外の人と稽古して、また九州以外の選手の動きを見て、大いに刺激を受けました。
す
そんな中、やはり話題の中心は、先のJFKO主催の第1回国際フルコンタクト空手道選手権大会のチャンピオンに輝いた福地勇人選手。
本人からも周りからも、いろいろ話を聞くことができました。
誰だって福地勇人選手が凄いということはわかってます。
じゃあ、福地選手のマネをすれば強くなれるのかと言えば、必ずしもそうではなくて、大抵の人はマネすると弱くなります。
空手をされていない読者の方のために説明すると、福地選手の空手はちょっと独特で、あまり一般的ではない。
しかし、圧倒的に強いんです。
つまり、新しいのです。
福地選手が全国的に有名になって7〜8年。
当初、カタチだけ福地選手のマネをする年少部の選手がゾロゾロ現れましたが、それほど定着せず、今現在あのスタイルを真似する選手はそれほど多くない。
でも、やっぱりわたくしは福地勇人選手をとことん研究して、あんな動きを道場生みんなができるようになってみたいわけです。
『いま強くなる稽古と、3年後に強くなる稽古と、両方やらなければいけない』
これは千代の富士の言葉で、わたくしは現役の頃に強い感銘を受けた記憶があります。
ああ、確かにそうだ。
これを学校の勉学に置き換えてみると、週末の中間テストの勉強もしなきゃいけないし、2年後の受験本番のための勉強もしなきゃいけない、ということに近いのかもしれません。
空手の場合はまず、いまエントリーしている直近の大会で勝つために必要な稽古をしなければならない。
すなわち『いま強くなる稽古』です。
『いま強くなる稽古』とは、スタミナ系のミットであり、コンビネーションのチェックであり、相手の攻撃に目を馴らすことなどが考えられます。
しかし同時に、3年後に強くなる稽古も怠ってはいけない。
このふたつはかなり異質なものです。
受験本番に出題される可能性のあるところは、中間テストに出ない確率の方が高いから、全くと言っていいほど違う。
空手に於ける『いま強くなる稽古』とは、現時点で所有している武器の手入れに他ならない。
いろんな武器を持っていてもスタミナがなければ使いきれないうちに終わってしまう。だから何よりスタミナをつける必要がある。とにかく試合前に大切なのは、自分の武器がちゃんと本番で作動するかどうかのチェックです。
逆に、3年後に強くなる稽古とはなんなのか。
空手の場合、それは『新しい武器の調達』ではないでしょうか。
プロ野球で、ピッチャーの球威が落ちたりケガが多くなってきたりすると、オフシーズンに投球フォームを変えることがありますが、だいたいそのピッチャーの成績は下がります。
せっかくコーチや先輩が一緒に考えて最善の策を考えてくれたのに、一時的に成績が下がったことに我慢できずに元のフォームに戻します。
『元のフォームに戻す』＝『いま強くなる稽古だけをやる』ことにしたわけですが、短期的にはそれで成績が回復したとしても、やはり長期的に見ると次第に通用しなくなって引退を早めるかもしれません。
空手も同じです。
組手を変えると、間違いなく弱くなります。
まわりも
『変なことしないで、いつもの自分の組手をやれ』
とアドバイスする人が大多数でしょう。
新しいことに挑戦するということは、その新しい分野では初心者なのだから、結果が出ないのは当たり前です。
だから、ほとんどの人は再び元の武器で戦います。
元の武器は使い慣れています。戦いやすいから元の武器だけに頼ります。
しかしそんなことを繰り返してばかりいると、数年後に周りの進化に置いてけぼりを食らって、いわゆる『停滞は後退なり』で、相対的な地位を下げてしまいます。
だから、常に新しいことに挑戦し続けなければならない。変化を恐れていてはならない。
携帯のOSが新しくなったのに、ほとんどアップデートしない人がいます。
そういう人達は決まって
『えー。だってアップデートしたら使いにくくなるやん』
と言いますが、じゃあ3年後どうなります？
携帯を変えた時、その新しい携帯には絶対に最新のOSが入っているのですよ。
隔世の分、まめにアップデートしていた人からすると比べ物にならないくらい使いにくくなります。
空手にとどまらず、勉強もビジネスも、全てにおいて挑戦にはリスクを伴います。
しかし、数年後を見据えた強い信念で変化を求めていかないと、必ず痛い目に遭うのではないかと考えるわけです。
わたくしは白蓮会館総本部出身で、自分も相手も動かない超接近戦を得意としています。
いわば福地選手の対極の組手です。
すでに44歳、この先別に試合に出ることもないでしょうが、自分のこだわりを捨てて、食わず嫌いにならないよう、少しずつ組手を変える努力をしていこうと思います。
